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先生のコラム

本当は面白い易の話(4)

内原 拓宗

<前回のあらすじ>
3回目のコラムの原稿を前にして早くも行き詰まりを感じた内原は、無謀にもその場で易を立てて、出た卦についてコラムを書く、という暴挙に出た!
出た卦は「屯(ちゅん)」。卦の形から、冬の寒さの中で、春の芽吹きを待つ状態、という意味や、物事の始まりの生みの苦しみ、などといった意味を取り上げていく中で、今回、「屯」がテーマになっている重大な意味に気付く!


すみません。前回の「屯」の続きです。
今回のコラムのテーマは易を立てて決めた訳で、いわば易の神様に丸投げしたようなものなのですが、本当にやらせでもなんでもないのですが、「屯」が出たことにとても驚いています。

その理由は、前々回(2回目)のコラムのテーマが「蒙(もう)」でしたが、「蒙」は易経で4番目に出てくる卦で、今回の「屯」は3番目に出てくる卦、というところにあります。
たかが順番が続いただけ、と思われるかもしれませんが、私は易の神様に
「お前、映画の話ばかりしてないで、もう少し易の話をした方が良くない?」
と言われたような気がしたのです。以下にその理由を説明します。

「易経」には「十翼」とよばれる解説書が備わっていますが、その中に「序卦伝」と言われる、卦の並びについて説明したものがあります。その冒頭は次のように始まります。

有天地然後萬物生焉 (天地ありて然る後に万物生ず)
盈天地之間者唯萬物 (天地の間に盈(み)つる者はただ万物なり)

はじめに天と地があって、そこから全てのものが生じてくる、と述べられていますが、この天は易卦の「乾」を、地は「坤」を示し、それぞれを陰陽の記号で示すと以下のようになります。




つまり、「乾」はすべて陽、「坤」はすべて陰で構成されており、この世の中は陰と陽がお互いに交わり、変化する中で成り立っている、という易の大きなテーマが簡潔に示されています。

故受之以屯 (故にこれを受くるに屯をもってす)
屯者盈也 (屯とは盈(み)つるなり)
屯者物之始生也 (屯とは物の始めて生ずるなり)

そして、次に出てくるのが、今回サイコロで出てきた「屯(ちゅん)」です。
「屯」の働きによって様々な生命や物事が生まれ、天地の間が満たされていく、というのは地球が誕生した後、何十億年もかけて大気や地上が形成され、やがて様々な動植物が登場していくというイメージに重なります。

そして、前々回の「蒙(もう)」へとつながります。

物生必蒙 (物生ずれば必ず蒙なり)
物之稺也 (物の稺(おさな)きなり)

誰でも最初は幼く、未熟であり、だからこそ学びが必要となる、と話は続いていきます。

ここまで見てくると、64もある易の卦の中で、今回わざわざ「屯」が出てきたのは、易経の冒頭の4つの卦を通じて、易の世界が視野に入れているスケールを紹介しなさい、と言っているかのようではありませんか。本当にびっくりです。

きっと、本校創立者の小林三剛先生が、見るに見かねて助け船を出してくれたのだと、そう思うことにしたいと思います。

ちなみに・・・「屯(ちゅん)」の卦を上下逆さまにすると「蒙(もう)」になります。
易にはこういった仕掛けがたくさんあるので、それを見つけていくのも易の楽しさかもしれません。



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